虹が見たい理由
だから、私がまた口を開いた。
「妹はね…私を生と結ぶ希望でもあったんだ。
妹がいるから、まだ大丈夫な気がした。」
布地が擦れる音。
涙を拭った。
「…希望が無くなったらまた探せば良い。」
茨は静かに言う。
「ねぇ、前はいつリストカットしたの?」
こっちに背中を向けている亜利哀の声がした。
「…両親がどっちも浮気してるって気付いた時。」
それから暫くして、会話する事が無くなって眠った。
久しぶりに深い闇に落ちるように寝た。