虹が見たい理由

だから、私がまた口を開いた。

「妹はね…私を生と結ぶ希望でもあったんだ。
妹がいるから、まだ大丈夫な気がした。」

布地が擦れる音。

涙を拭った。

「…希望が無くなったらまた探せば良い。」

茨は静かに言う。

「ねぇ、前はいつリストカットしたの?」

こっちに背中を向けている亜利哀の声がした。

「…両親がどっちも浮気してるって気付いた時。」

それから暫くして、会話する事が無くなって眠った。

久しぶりに深い闇に落ちるように寝た。






< 21 / 28 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop