Ball&Boy
「ピチピチっす。数ヶ月前は、女子高生でしたよ。」

大学生になってみると、同じ学年なのに同じ年じゃないって言うことが、普通だった。

だから、自分は十代でも相手は二十代だなんて、珍しくなかった。

「女子高生かよー。じゃ、平成生まれ?」

「はい、あたしは、平成元年ですよ。」

平成と昭和が、混じっているあたし達の世代。

昔から、昭和と平成がどーだと話す。

生まれた時期なんて、自分で決めたわけじゃないから。

「とうとう、うちの部活にも平成生まれが…。」

なんだか、落ち込んでしまった先輩を横目に、だんだん気分が乗ってきた羚。

「菜々も平成ですよ。ね、菜々。」

「うん、私と羚の誕生日、10日違いなんです。」

「どっちのが上?」

「羚のほうが、10日早いんです。」

「でも、10日ですから、変わんないですよー。先輩とは違います。」

「いや、羚ちゃん、俺も羚ちゃんと一切しか変わらないから。」

「経験の違いってやつですよ。」

羚は、笑っていた。
もちろん、高濱先輩も。


二人とも、一歳違いは、どうせ一歳違いだって思ってたけど。


この一歳が、どうしてこんなに…



大きいんだろうって。



気がつく日が、いつかあるかもしれなかった。
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