ももか

気配

ももかはその場を走り去った後、ゆっくり歩き始めた。ヨシカズの事を考えていた。


本当にヨシカズが手紙を書いて送ってきたり、さっきみたいに髪を引っ張ったりしたのかな…

さっき髪を引っ張って頬をさわった犯人とは反対方向からヨシカズは来た…

犯人は他にいるの…?
でも手紙に染みついたひまわりのエキスは…?

しばらく考えながら歩いて気づかなかったが、後ろから足音がしてついてきてる。

どうしよう…。ヨシカズかな…、それとも…

ももかは歩くスピードをゆるめてしばらくして、歩くのをやめた。
ゆっくり、何気ない振りをして後ろを確認した。


そこに立っていたのは細く青白い顔をしたおじさんだった。
気持ち悪い、ギョロッとして虚ろな目。
黒い天然パーマ。
この人も日本人なの…?
表情は無表情…それが何より恐かった。

ももかはまるで体が凍ってしまったみたいに動けなくなった。
恐くて声も出せない。
こんなに気味の悪くて犯罪の匂いがする人間に出くわしたのは初めてだったから動けなくなったのだ。

その間にも男は近づいてくる。
ズボンのポケットに片手を入れたまま、呼吸が荒くなってきて、ももかの方をじっと見ている。

なにをされるのか分からず、ももかは少し後退りをした。



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