first love【完結】
山口さんが倉庫から出ていく姿を確認すると、


「大丈夫か?」


一生は座り込んでいるあたしの前にゆっくりと腰を下ろした。


そして外されたYシャツのボタンを一つ一つ丁寧にとめていく。


「もっと早くこれなくてごめんな?」


そう言う一生の手はほんの少し震えていた。


「……――一生!」


あたしは一生に抱きつくと、大粒の涙を零した。


「怖かった……怖かったよぉ!」


一生は何も言わずにあたしの体をギュッと抱きしめた。
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