うらはらっ! [短編]
『お疲れ様でーす』
『お疲れ〜』
あたしは陸上部に入っていて、陽太と時間が合う日は一緒に帰る。
って言っても、少し待ってたりもするんだけどね?
「お疲れ!ちび陽太!帰ろっ」
「おぅ、お疲れ!ちび茅乃!」
「ちびじゃないもん!あほ陽太!」
…確かに。
背が高くなってから、更にかっこよくなった気が…
なんて唐突に思うあたし。
「って、ん!?」
「な、なんだよ?」
あたしがいきなり大声を出したから驚く陽太。
「これ!…ちょっと!ひどいじゃん!どうしたの!?」
私が掴んだ右手は、薬指と小指が青く腫れ上がっていた。
「あぁ、今日ちょっと、練習中に」
そう、平然と言う。
「…あ、下手くそだからこんな怪我するんだよ!」
『大丈夫?』って言いたかった言葉。なんでこんな言葉に変換されちゃうの(泣)!?
「はぁ。ほんっとお前可愛げないよな。大丈夫、とか言えよ」
パッと手を振りほどかれる。
呆れたように言われた言葉が、ちくっと胸を刺す。