うらはらっ! [短編]
お昼休みになったのに、もやもやしちゃって何もする気が起きなくて。
机に顔を伏せていたら、頭にコツンと何かをぶつけられた。
「よぅ!ちび茅乃」
顔を上げたら陽太が立っていた。
いつもなら、ちびじゃない!って言い返すのに、今はそんな気力も出ない。
「なに?」
せっかく陽太から声かけてくれたのに、すっごい素っ気ない態度。
それなのに
「ほら、これ。」
そう言って、渡されたのはあたしが大好きなオレンジジュース。
「え…?何これ?」
きょとんと陽太を見ると
「珍しく元気ないから差し入れ!それに、これのお礼もあるし…」
そう言って出した右手。
そこにはまだ私が巻いたテーピングが貼られてた。
嘘…。心配してくれたのかな?
すっっっごい嬉しい!
「あ…あ、あり…」
言うのよ!『ありがとう』って…
そのまま、そのまま…!
「ん?あり?」
そう聞き返した陽太と、ばっちり目が合ってしまって。
「あ…ありにでも飲ませとくわ!こんなものっ!」