うらはらっ! [短編]


お昼休みになったのに、もやもやしちゃって何もする気が起きなくて。

机に顔を伏せていたら、頭にコツンと何かをぶつけられた。



「よぅ!ちび茅乃」



顔を上げたら陽太が立っていた。

いつもなら、ちびじゃない!って言い返すのに、今はそんな気力も出ない。



「なに?」



せっかく陽太から声かけてくれたのに、すっごい素っ気ない態度。

それなのに



「ほら、これ。」



そう言って、渡されたのはあたしが大好きなオレンジジュース。



「え…?何これ?」



きょとんと陽太を見ると



「珍しく元気ないから差し入れ!それに、これのお礼もあるし…」



そう言って出した右手。
そこにはまだ私が巻いたテーピングが貼られてた。

嘘…。心配してくれたのかな?

すっっっごい嬉しい!



「あ…あ、あり…」



言うのよ!『ありがとう』って…
そのまま、そのまま…!



「ん?あり?」



そう聞き返した陽太と、ばっちり目が合ってしまって。



「あ…ありにでも飲ませとくわ!こんなものっ!」



< 8 / 29 >

この作品をシェア

pagetop