【完結】先生との恋
「……今日、どこか行きたかったの?」
「えっ?」
あたしが思っていた事を声に出して言われてあたしは看護師さんに目を向ける。
看護師さんは測りおわったらしく、器具を外してカルテに書き込んでいた。
「高橋先生が今日は特に心ちゃんが病院抜け出さないように気を付けて見ていてって言ってたのよ」
……高橋。
あたしが今日病院を抜け出すと考えていた事がもしかしてバレてたとか?
……ここで、動揺した素振りを見せて、図星だと看護師さんに悟られてはいけない。
「最近大人しくしてるのに。
ほら、今日は一日スッピンだし外に出るつもりないです」
内心動揺しながらも冷静に看護師さんに言葉を返す。
ここで、バレるわけにはいかない。
「そうよね。
じゃあ、今日も大人しくしといてね」
看護師さんは安心したようにニッコリ笑うと部屋を出て行った。
―――危なかった。
部屋を出ていったのを確認して、あたしは棚の上に置かれた時計で時間を見る。
9時25分。
よし、行くか!!