【完結】先生との恋
逃げたのに居場所なんか教えてわざわざ見つかるような事するわけないっての。
『それでも教えてもらわないと。…走って体は大丈夫?発作は起こってない!?
……早く帰ろう?』
高橋は落ち着いた声であたしを説得するかのように語りかける。
その声に……あたしも、帰らなきゃいけないような気がしてしまう。
まぁ、気がするだけで帰ろうとは思わないけれど。
高橋は、ここまできても怒らないし。
トイレを出て、すぐ横の壁に背中を預けた状態であたしは高橋に話す。
「実はもう、帰ろうとしてるとこなんだよね」
『え?』
「まだ建物の中にいるけど。もう帰る」
『じゃぁ一緒に……』
ホッとしたような高橋の声を遮る。
「自分でここまで来たから、自分で病院まで帰る。
高橋の言うとおりに今から帰るんだから文句ないでしょ?あたしが帰るまでに高橋は病院にいてよ。
……どうせ戻ってすぐに検査するつもりでしょ?」