【完結】先生との恋





血流って。


普通そこは、『いつか見に行く事が出来たらいいですねー』みたいな気の効いた事言うでしょ。



呆れたあたしに、高橋は更に口を開く。



「手術すれば……オーロラを見に行く事だっていくらでもできるよ」




また始まった。



高橋の手術をしたら、治ったら話。



「手術しないで発作が起きて もしも の事があった時。
もうこんな綺麗な景色に感動する事も出来なくなるんだよ?」


「うん、分かる」



「だったら……何でそれでも手術したくないの? 治れば体に振り回される事無く自分の好きな事が出来る。

心はまだ若い。これから楽しめるのに、手術しないで発作なんかで人生を台無しにさせたくない」


早く治して思いっきりこれから楽しむべきです、そう付け加えた高橋。




「なんか……医者っぽい」




真剣に話す姿に笑ってしまう。



「医者ですけど」




「うん、医者だね」


笑いながら言うあたしに、高橋は怪訝そうな顔をする。


「僕は!心配だから言ってるんですよ!?」


「知ってる」


「分かってないですよね……」





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