【完結】先生との恋
隣であたしを見たまま何も言葉を発さない高橋。
「……どしたの?」
人が真面目に話したって言うのにボーっとあたしの顔を見ていて。
あたしが声をかけると、ハッとしたように視線を泳がした。
「今の、感動しました……高橋先生って」
「そこ?」
あたしの心臓を任せてあげる、じゃなくて、高橋先生って呼ばれた事に感動したの?
「や……まさか先生って言われる日が来るとは思ってなかったんで」
「もう呼ぶつもり無いから」
やっぱり高橋の方が言いやすいし。
手術する時は頼む、って言っただけで認めた訳でもないし。
「先生っていいですねー心」
「だから!いい加減呼び捨て止めてくんない?ムカつく」
何か馴々しくてムカつくし。
それに……
「高橋医者でしょ?
担当患者に呼び捨てって言い訳?」
あくまで医者と患者なんだし。