【完結】先生との恋





ゆっくりと入ってきた高橋はいつも通りの笑顔であたしを覗き込む。



「手術……」



したんだね。



そう言おうとしたけど、手術 と言う単語を発しただけで高橋は分かったらしく口を開いた。




「発作を起こして非常に危険な状態でした。
急いで岡本さんのご両親と連絡を取って緊急手術しました」


優しい口調で、淡々と説明されるのを黙って聞く。



「手術時間は6時間、予定通り僕が執刀させていただきました。
岡本さんのご両親にはもう説明しましたが、成功したのでもう発作を起こす事は無いかと……

激しい運動はしばらく出来ませんが」


「ありがとうございました」



お母さんとお父さんが高橋に頭を下げる。


それを他人事のようにただ、見つめていた。





急に手術した……と言われても頭は追い付かない。



お父さん達に向けられていた高橋の視線はあたしへと戻る。




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