【完結】先生との恋
だから、思い切って聞いてみた。
「……あのさ、傷、大丈夫?」
もし見えてても、あたしが気にしないように触れないでくれてるのかもしれないし。
さっさと自分で確認しちゃえば済む話なのに……それが出来ない。
「うん。全然見えてない」
「ギリギリまで開いてるかもしれないけど……ピタッてしてるし、見えることは無いと思うよ」
「本当……?」
「大丈夫だよ、ほら」
視線を正面に戻すと、ちょうど椿がバックから鏡を出している所だった。
鏡を見せられ、自分の鎖骨の辺りを見る。
まだ自分でも見たことがないから、どのくらいの長さで、どんな風に縫われていたのかも分からない。
消毒される時に感じる感触で、大体の位置しか分からなかったけど、2人の言う通り、ニットワンピが体にフィットしていて、傷は全く見えて無かった。
……良かった。
ホッと息を吐く。
「……まだ、見る勇気無い?」
控えめに聞いてきたあさみに、あたしは頷く。
「怖くて見れないんだよね……」
怖くて。