【完結】先生との恋
用意が終わり、あたしはナースステーションに行って一言、看護師さんに声をかけた。
あたしが声をかけた看護師さんは、朝消毒の時に清水先生と一緒に来ていた人。
あたしの姿を見ると、ニッコリ笑って「素敵な誕生日を過ごしてね」って行ってくれた。
「……ねぇ、で、どこ行くの?」
久しぶりの慣れないブーツをはいて足を動かしながら少し前を歩いてるあさみに聞く。
さっき聞こうと思ったんだけど、聞くタイミングを逃しちゃったし……。
そろそろどこに行くか位教えてくれたって良いと思うんだけど……。
2人とも、笑顔をあたしに向けるだけで、どこに行くのか教えてくれない。
「もうすぐ分かるから!」
そう言われると、もう聞くことが出来なくなる。
教えてくれたっていいじゃん。と思うけど。
早く知りたい気持ちを抑えて、黙って2人に付いていった。
……病院を出ると、寒い風が当たる。
ニットワンピと黒タイツのお陰でポカポカして暖かいけど……。
何もガード出来ていない顔が、風をまともに受けて寒い。
あさみと椿は、そのままバス通りの方へと歩いていくのかと思いきや、駐車場の方へと歩いていく。