【完結】先生との恋
高橋が夕食の事までもう考えてくれた事も嬉しかったからニヤけてしまったのに。
食い意地が張ってるってイメージしか高橋の中に無いのかもしれない。
……人がせっかく喜んでたのに。
悔しくて、あたしはちょっと高橋の困った顔を見たくなった。
「で、何にします?」
そう聞いてきた高橋に答える。
「アレ!」
店の方向を指差したあたしに、高橋もその方向を見る。
「……ドーナッツ?」
明らかにちょっと困ったような声が高橋から出た。
「そ。すっごーく甘いの。砂糖がいっぱいふってある」
あたしは至って普通に笑顔で希望する。
「甘いものは……控えて下さい」
「何でよ」
「一応まだ岡本さんは入院している身なんで」
他の物で、ね……と高橋。
そっか。
ここで何か起こったら高橋が怒られるからか。
「ほら。せっかく手術したのに、いつまで経っても制限された生活送んないといけないじゃん……」
言って、高橋から顔を背ける。