【完結】先生との恋
……高橋の家だと?
あたしの家じゃなくて?
「何で高橋の家に行かなきゃいけないのよ!
あたしの!家に帰るんだから!道教えるから!」
「ちょ、危ない!離して」
高橋の腕を掴んで揺さ振ると、焦った高橋がこちらを少し見る。
「離して欲しいなら今すぐ帰して!」
「分かったから落ち着いて」
意味分かんない。
とりあえず事故起こされたら困るから腕を離すと、高橋が口を開く。
「岡本さん、家の鍵持ってるの?」
そう聞かれて、あたしはすぐにバックの中を確かめる。
確か入れたはずだけど……あ。
あさみの家に泊まる予定だったから、家の鍵は病院のあたしの部屋の鍵が付いている引き出しの中だ……。
「持ってない……けど!家に帰ったらお母さんいるし」
鍵が無くても大丈夫。
「いないよ」
なのに、あたしの言葉を否定する高橋。
「何で高橋がそんな事言うのよ」
「岡本さんのご両親。今日から一泊二日で温泉に行かれてます」