【完結】先生との恋
バスルームも、とても綺麗だった。
汚れも、全く無くて。
毎日細かく掃除してるのか、と思う位に。
高橋にはそんな暇、無いはず。
休みだってなかなか取れないし、病院にいる時間の方が断然長いのに、いつこんなに綺麗にする時間があるのか聞きたくなる。
脱衣場からバスルームへと続くドアを開けてすぐ、壁に埋め込まれている鏡が目に入る。
少しの間、忘れていた胸の傷を思い出してしまう。
……そろそろ見なきゃ。
自分の今の体と向き合わなきゃ。
そう思うけど……勇気が出ない。
いつになったら勇気、出るのだろうか?
20になったんだし、いつまでも逃げてはいけないって思う。
今が、ちょうど良い機会なんじゃないかと……。
でも、結局あたしは鏡からも、自分の胸からも顔を背けたまま入浴を済ます。
「……根性なし」
服を着て、もう見えなくなった状態で、自分の胸の辺りを見る。
怖くて、見れない。