【完結】先生との恋
ちょっと顔を下げて、視界に入れれば済むのに。
……それがどうしてもできない。
本当に……根性なし。
ポタポタと毛先から落ちてくる雫をタオルで拭いて、ある程度水気を飛ばした後、ドライヤーで乾かした。
「上がったよ」
バスルームから出て声をかけると、高橋があたしを見る。
「……パジャマじゃないんだ。家用?」
病院では、お母さんが買ってきたパジャマだけど、今は上は長袖のトレーナーに、下はジャージ。
あたしが頷くと、「新鮮」と笑う。
あたしにとっては、高橋の方が新鮮だけど。
今日の私服だって、寝顔だって、この家だって。