【完結】先生との恋
「ゆっくりで良いと思いますよ。そのうち見れるだろうし」
「分かんない。見れる気がしない」
今までは、見ようと思えばいつでも見れるけど、見ないだけだって思っていた。
けれど。
いざ見ようとしたら、見れない。
見ないんじゃなく、見れない。
「そのうち、傷がある事を忘れて、鏡見て気付いたーなんて事になるよ」
少し有り得そうな事を明るく言ってくれる高橋。
「それ、あるかも」
苦笑いしながら呟くあたしに、高橋は続ける。
「さ、ケーキ食べれるんだし、そんな顔しないで元気出して。……僕も今から風呂入って来ますから」
寒くないですか?なんて聞きながらあたしを見る座らせて、自分はバスルームへと歩いていく。
それを何とも言えない様子で見送るあたし。
「あ!」
一回バスルームへと消えていった高橋が、何かを思い出したような声をあげてドアから顔だけだしてこっちを見る。