【完結】先生との恋
それが?と、高橋。
日本茶って……。
「紅茶、無いの?」
「ありますけど」
高橋の答えを聞いて、あたしは思う。
人の家にお邪魔している身で、こんなことを言うのはどうかと思うけど。
ワガママ言うなよ、って思われるかもしれないけど。
「普通、ケーキといえば飲み物は紅茶でしょ」
あたしの言葉を聞いて、高橋はカップを持ち上げたまま首を傾げる。
「何で?」
「何でって……洋風のケーキには洋風のお茶でしょ」
「甘い物と一緒に、甘い物を飲むの? ケーキには日本茶でしょ」
当たり前のように言う高橋。
……高橋の中では、それが普通なんだろう。
「それに」
納得いかなくてカップの日本茶を見つめていると、高橋が続ける。
「甘い物、ケーキだけで我慢して欲しいので。
紅茶を出すことは出来ないです。ごめんね?」
……謝られても。
「別に、出して貰った物にワガママ言うつもりないし」
「……今いったよね?」
すかさず突っ込んでくる高橋。
「今のはっ、高橋の中の常識の確認!」
それだけ言うと、私は口を閉じてケーキを食べる。
「……食べ終わったら、ちゃんと薬飲んで下さいね」
しばらくして顔をあげると、高橋はニッコリ笑いながら、そう言った。