【完結】先生との恋




「ん?」


高橋があたしの視線に気付いてあたしの方をチラッと見る。


気付かれた、とドキっとしたけれど、視線は逸らさずに高橋の方を見たまま話題を探す。



「良く飽きないでずっとやってられるよね。
食事とお風呂以外ずっとやってんじゃん。集中力すごいなって思って」


パズルが好きなあたしがこんなことを言うのはどうかと思うけど。

ずっとやってたら少し休憩したくなるのに、高橋は一回も休憩を取ることなくしてるし。


最初は嫌そうな顔して、やる気もなかったくせに。


目、疲れないのかなって思う。



「そりゃ、集中力無いと医者なんて出来ないよ」


笑いながら次のピースを掴む高橋。



「やっぱり集中力大事?
目、疲れない?」


「大事だよ。目、疲れないし。
手術の時に比べたら……」





そこまで言って、ハッと口を閉じた高橋。


そして、何事も無かったかのようにピースを当てはめていく。




手術の時に比べたら……。




高橋が途中で止めたのは、手術についての事はあたしに話さないほうが良いと思ったからだと思う。

……手術中は、休憩なんて出来ないもんね。


それに、何時間も集中した状態で立ちっぱなしで。


それをいつも経験している高橋にとっては、パズルは楽な方なんだろうな。





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