【完結】先生との恋
高橋の腕が、あたしの背中に回っていて。
片方の手は、あたしの頭を撫でてる。
ちょっと顔を左へ向けたら、高橋の頭が見えて。
髪が、頬に触れてくすぐったい。
「……心」
久しぶりに聞いた高橋があたしの名を呼ぶ声。
耳元で、低く優しい声が届く。
たった一言なのに、すごく反応してしまう。
「……高橋?」
あたしが高橋の名前を呼ぶと、返事が聞こえる変わりにあたしに回されている腕に力が籠もるのが分かる。
なぜか、高橋に抱き締められてる。
規則正しく揺れる高橋の肩と、あたしの頭を撫でる、高橋の手。
頭を高橋の肩に置かないように、力を入れていたけれど、首に限界がきて、高橋の肩に頭を預けた。
「……違う」
どうすれば良いのか分からなくて困っていた時。
やっと高橋が口を開いてくれた。
「違う?」
高橋の言葉を繰り返して高橋に聞く。
「違うよ……仕事だから手術したとか、助けたとか、そんなんじゃない」
「え?」
……どう言う事?