【完結】先生との恋
「そんな問題じゃ無くて」
疲れたようにはぁーと息を吐いてあたしを見る高橋。
そんなに疲れた?
ちゃんと電話にも出たのに。
心配することないのに。
心配してだなんて頼んでないし。
「あ、すみません。この問題児がいっつも迷惑かけて……って、あ!」
高橋に気が付いたあさみが雑誌から顔を上げて大きな声を出した。
いきなり大きな声を出したので、私たち三人はあさみの方を見る。
「……どしたの?」
高橋もあさみを見てきょとんとしている。
「この方が、高橋先生?」
「うん」
あたしが頷くと、あさみはニッコリ笑いながら高橋を見て口を開いた。
「前に心の病室が分からなくて聞いた事があったの!
あの時はありがとうございました」
あさみが頭を下げると、高橋もいえ、と言う。
高橋の反応からして、絶対覚えてなかったでしょ。と思うけど。
それよりも……前?
「それって前にあたしが入院した時?」
「そうそう」
頷いたあさみに、あたしは頭の中の記憶を遡って行く。