メイドが執事に恋をする
直ぐ側まで近付いても掴まれた腕は、
しっかりと繋がれていて離れないままだった。
……。
簡単に振りほどける腕。
立ったまましばらく
じっと繋がれた腕を眺めていた。
「はぁ。」
少ししてあたしは小さくため息を吐いた。
手にした洗面器を置いて直ぐ側の椅子に腰掛けた。
安らかな寝顔の桜井さんに
「…桜井さん?」
と小さく呼びかける。
声に答えることなく
静かに眠っている。
掴まれていた腕をそっと離した。