メイドが執事に恋をする
刺される様な視線が痛くて
「えっと…
まぁ、その…
部屋に戻ります!」
逃げようと扉に手をかけた。
でもその瞬間
後ろからドアノブを持つ手をぐっと掴まれた。
ドアノブごとあたしの手を包んだまま
「また逃げるのか。」
と頭の上から声がした。
「えっ。」
その言葉に思わず後ろを振り向く。
桜井さんと目が合う。
さっきとは全然違う冷たい瞳。
怒っているのか
あきれているのか
わからない。
どうしていいかわからなくてとにかく目を逸らした。
視線をどうしていいのかわからなくて掴まれた手を見つめて固まってしまった。
さっきの優しい瞳を見た後に。
そんな瞳で見られると
何故だかわからないけれど泣きたくなってくる。