メイドが執事に恋をする
「ちょっと、あなた!」
扉の前で固まったままぐっと涙をこらえていると突然呼びかけられた。
驚いて顔を上げると、
そこには制服を着たお嬢様があたしを睨み付けていた。
「また、あなた!
どうしてこんな所に、
あなた…泣いてるの?」
お嬢様の言葉にはっとした。
気付けば堪えられなかった涙が溢れ出してきていた。
あたしは何も言わずその場を走って逃げた。
部屋に戻るってベットに潜り込む。
狭いベット。
桜井さんのベッドおっきかったななんて思う。
…ううん。
あたしにはこれがお似合いだよね。
枕を抱えながら考える。
自分の心がわからない。
どうして泣いたのかも、桜井さんにドキドキした気持ちも。
頭が混乱し過ぎてもう何がなんだかわからない。