メイドが執事に恋をする
どちらも無言で歩く。
今は一人になりたい。
そう思うとつい早くなる足。
なんとか小百合のスピードに合わせて歩く。
と。
小百合の部屋の前に来たところで正面から田所がこちらに向かって歩いてきた。
「おはようございます。」
俺達に気付いた田所はそう言って微笑んだ。
「あぁ、おはよう。」
張り詰めた空気が緩んでホッとした。
田所は俺の直の部下にあたる。
今日は代わりにと名乗りでてくれた。
頼りになる男だ。
「ではよろしく頼む。執務室にはいるから何かあればそちらへ。」
そう言うと静かに頷いた。
「では参りましょう。」
田所に促されると小百合は何も言わず黙って付いて行った。