メイドが執事に恋をする
ずっとお庭を見ていた桜井さんがペタリと座ったあたしに視線を移した。
あたしを見て少し驚いた顔をする。
ふっと笑った桜井さんは立ち上がるとあたしの前に座って覗き込んだ。
いつもの強い瞳。
吸い込まれそうな。
ドキドキするそんな瞳。
反らすことも許してもらえない。
「力、抜き過ぎだろ。
何泣いてんだ。」
とても優しい声で。
あたしから目を逸らすことなく、そう言ってあたしの頬に手を伸ばした。
泣いてる?
あたし泣いてるの?
触れられていない反対の頬でそっと確かめる。
ほんとだ。
泣いてる。
そう気付いた途端ボロボロと溢れ出した。