メイドが執事に恋をする




「付き合わせて悪かったな。」

そう言って部屋の前にもたれる桜井さん。

「い、いいえ。
あたしなにもしてませんから。

…すいません。」


電話したあと直ぐに桜井さんを追いかけて部屋をでた。

ものの…
結局はどう手伝っていいのか判らなくて、
ひとりで歩いて部屋まで来た桜井さんの後ろをついてきただけだった。



「何謝ってんだ?

気にすんな。十分助かったよ。」


そう言ってまた抱き寄せられた。




「えっ!
ちょっと、桜井さん」

また熱のこもった体に抱き締められてあたしは一気に動揺した。

そんなあたしを余所に

「あー冷たくて気持ちいい。」


って頭の上から声がする。



なんだか抵抗もしづらくてそのままぼーっとしていると


「じゃ、おやすみ」


と言って部屋に帰ってしまった。



閉まった扉をしばらくそのまま眺めていた。



風邪引いてもマイペース。










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