メイドが執事に恋をする
「いえっ。
どうして小百合お嬢様がいらっしゃるのでしょう?」
落ち着くため当然の質問をする。
「どうして?」
差し出された手が止まる。
「どうしてって。
あたしがここにいてはいけないのかしら?」
冷静に話そうとはしながらも、不満そうに俺を見る。
どうも俺の質問は気に食わなかったようだった。
何故か少し喧嘩ごしな小百合に驚きながらも落ち着いて答える。
「当然です。
お嬢様が執事の部屋で介抱だなんていけません。
私は大丈夫ですから。
すぐにお部屋に戻ってください。」
ぼーっとする頭ながらも冷静に返す。
俺の言葉に小百合の目は見開かれそしてゆっくりと閉じた。
「どうして…。
和真はあたしに冷たいことばかり言うのね。
昔は…あんなに優しかったのに。」
そう涙声で言った。