メイドが執事に恋をする
「それって立場の話?
雇い主と使用人だから?
そんなの関係ないじゃない!
あなたを雇っているのはパパでしょう?
あたしじゃない!!」
珍しく感情的な小百合。
こんなに気持ちをぶつけて来たことなんて今までなかった。
俺にどうしろっていうんだ。
「お嬢様。
落ち着いてください。」
俺の言葉は聞かず興奮した小百合は更に続けた。
「和真は世話してくれる人がいなきゃ今は何も出来ないじゃない!
それくらいさせてくれたっていいでしょう!?
それにあたしは!
あたしは…和真が。」
何となくわかるその言葉。けれど聞いたところで応えることなど絶対にない。
最後まで聞かず俺は
「お嬢様。
私の世話は部下に頼みます。ご心配は無用です。
それに…
私の世話なんてさせてしまっては私が旦那様に叱られてしまいます。
どうか分かってください。申し訳ございません。」
旦那様のことを出した途端口を閉じて俺を見た。
悲しそうな目をして
「わかったわ。」
と残して部屋を出て行った。