Dear...
意識
同じクラスになった二人。

相変わらず人気者の直人。

違う小学校から来た女子生徒の友達が増えた知子。

直人は野球部に入部したが、知子は部活には入らなかった。

放課後、直人の練習を見ていた知子。

それが見たくて、どの部活にも入らなかった。

グラウンドで白球に飛びつく姿。

ピッチャーが投げたボールを快音を響かせバットをふる姿。

バックネット越しにいつも見守る様に直人の姿を見ていた。

練習を終え、水道で顔を洗う直人。

「頑張ってるじゃん!はい!これ。」

知子がタオルを差し出した。

「お!気が利くじゃん!サンキュ!」

顔を拭き終えた直人が、首からタオルを掛けて知子に近寄る。

「ちょ、ちょっと~。汚れるじゃないの~。」

「良いじゃん!(笑)ホラ~ホラ~(笑)」

土にまみれたユニフォームで知子に近づいた。

「知子~。」

「何?」

「何か良いCD持ってない?」

「どんなの?」

「ん~、激しいのとかかな?」

「どうかな?帰ってみて探してみるから。」

「後で行くから。」

「分かった。じゃぁ、後で。」

音楽はいつも知子に借りていた。

女の子は音楽にも詳しく、流行りの曲に敏感。

直人はそれをMDにダビングしていた。

知子は直人の好みの曲がどれなのか?

大体、分かっていたのだ。

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