Dear...
家に帰り、先日買っていたCDを机の中から取り出す。

知子は急いで着替え直人が来るのを待っていた。

「結構、激しいのよね・・・。これ・・・。」

CDのジャケットを眺めて呟いた。

知子は聴かないジャンルの曲。

どちらかというと、落ち着いたバラード曲を好んで聴いていた。

「私はこれかな・・・。」

CDラックに並べられている多くのアルバムの中から、知子は一枚
のCDを手に取った。

「こんにちは!!お邪魔しま~す!!」

勢い良く二階の知子の部屋へ駆け上がってきた直人。

「よう!」

ドアを開けてベッドに腰掛ける知子に挨拶する。

「よう!」

軽く右手を上げ、直人の真似をする知子。

「はい。これ。」

差し出したCD。

「あ~、悪いねぇ。いつも。」

「それね、結構激しい曲聴く人の中で流行ってるみたいよ。私は聴かないけどね・・・(笑)」

「そうなんだ・・・。」

部屋に腰掛けジャケットを眺める直人。

ベッドに腰掛けていた知子は立ち上がり、先程のお気に入りのCD
をミニコンポの中に入れ再びベッドに腰掛けた。

ゆっくりとしたテンポの曲が流れる。

リモコンで早送りを押し、目当ての曲が流れた。

CDジャケットに見入っていた直人が顔を上げた。

「これ何て曲?」

初めてバラードに興味を示した。

「これ?これはね、Dear...っていうの。」

「ふ~ん・・・。」

二人は暫く聴き入っていた。

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