Dear...
知子がまだ4歳の時だった。

近所に引越して来た直人。

御近所挨拶に訪れた直人の一家。

母の足にしがみついたままの直人。

その直人とは、正反対にまるで自立したかの様に立つ知子。

「今度、引越して来ました八神です。よろしくお願いします。」

深々と頭を下げる直人の父母。

「こちらこそ、よろしくお願いします。」

知子の父母も頭を下げる。

「あら?お嬢さんがいらっしゃるんですね?いくつかな?」

直人の母が知子に話し掛けた。

「4歳です…。」

右手で『四』を示して言った。

「じゃあ、うちの直人と同い年なのね?直人。ご挨拶なさい。」

母に押し出された直人。

「八神直人です!」

「藤城知子です!」

それが初めて直人と話した時だった。
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