Dear...
「知子…。野球じゃなくて、バレーボールとかバドミントンとかの方が良くないか?」

父の言葉を聞かない知子。

「嫌!!直人君とキャッチボールしたいの!」

言い出したら聞かない性格を分かっている両親。

渋々、父がグローブを買って上げた。

嬉しそうにグローブを眺める知子。

「明日、直人君とキャッチボールするの。」

その笑顔に父は何も言えなかった。

「アナタは知子に甘過ぎよ…。」

「良いじゃないか。知子が喜んでるんだから…。」

グローブを抱いて布団で寝息を立てる娘を、目を細めて眺める父。

そっと襖を閉じた。
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