Dear...
次の日。学校のお迎えに知子が直人の家に行った。

「知子ちゃん。ゴメンなさいね。直人、風邪引いちゃってお休みするのよ。」

直人が風邪を引いて高熱を出したらしい。

知子は1人、寂しく学校に向かった。

「あ~あ…直人君とキャッチボールしたかったのに…。」

二人で通う通学路は楽しかった。

一人で歩く通学路。

何故か物足りない。

毎日、通学路の途中に居る大きな犬。

いつもなら、直人が庇って知子を行かせてくれる。

やはり、居た。

寝ているが、時折少し知子を見ている。

「怖いよ…。」

知子は動けなくなった。

立ち尽くし泣き出す知子。

その泣き声を聞き付けた飼い主が、奥に連れて行ってくれた。

「怖かったか?スマンなぁ…。」

学校に向かい始めた知子。

来る筈のない直人が来るかもしれない

振り返りながら学校に向かう。

やっぱり直人は来ない。

席の隣に居る筈の直人。

机の上に配られたプリントだけが直人の存在を知らせる。

初めて、誰かが居ないと寂しいと実感した。
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