Dear...
次の日。

また次の日も直人は学校を休んだ。

学校から帰って来た知子は、1人で壁にボールをぶつけて遊ぶ事にした。

「父さんとキャッチボールするか?」

首を横に振った。

『トン!トン!トン!』

壁にボールを投げるが上手く投げれない。

直人は、ちゃんと投げれて返って来る。

知子が投げても違う方向に行き、返って来ない。

段々イライラする知子。

「もう辞める」

グローブを外した時だった。

「知子ちゃん。真っ直ぐ最後までボール握ってないからだよ…。」

直人の声がした。

キョロキョロとする知子。

「上だよ。上。」

目線を上げた先に直人がいた。

二階の部屋から、知子が投げているのを見ていた。

「風邪良くなったの?」

「うん。明日は、学校行けるよ。」

知子が笑った。

「グローブはめて投げてみて。」

知子は、直人の言う通りグローブをはめた。

「投げる格好して。」

知子が投げるフリをした。

「それじゃあ、ダメだよ。こうやってね…。」

二階の部屋からアドバイスする直人。

あれこれ言われているうちに、上手く投げれて返って来るようになった。

「明日、一緒にキャッチボールしよ。」

直人が知子に言った。

「うん」

その日、またグローブを抱き締めて眠る知子。
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