ダチュラな私。
「これ美味しい」
「うん。本当に美味しいね」
聖羅がグラタンを食べながらこぼした言葉に、私はすかさず同意した。
料理は全て想像以上に美味しかった。
例えば、私はこの料理が高級レストランのランチコースとして出されたとしても、充分に満足していただろう。
だけどこの料理はとても良心的な、私達みたいな高校生でも気軽に食べられるくらいの値段だったはずだ。
この味に、このボリューム。
カウンターの中に立っている人の良さそうなおじさんとおばさんを見ながら、利益はあるのかな、なんて下世話なことを考えてしまった。
「爽吾にしてはいいセレクトだよね」
幸せそうにグラタンを頬張っていた聖羅が、爽吾君に憎まれ口をたたく。
爽吾君は口に入れようとしていたピザをすんでのところで止めて、眉間にシワを寄せた。