ダチュラな私。

爽吾君はなにか言い返したそうにしばらく聖羅を見ていたけれど。

「うるせえな。黙って食えよ」

面倒臭くなったのかそれだけ言うと、チーズが落ちそうになっていたピザを口に入れた。


……この二人を見ていると、幼なじみという関係は本当に厄介なものだと思ってしまう。

私は苦笑しながら小皿に残っていたスパゲティを食べたあと、グラタンを取り分けながら爽吾君に視線を向けた。


「だけど爽吾君って本当に素敵なお店いっぱい知ってるよね」

わざとらしくならないように、なんとなく、といった感じで爽吾君にそう話しかける。


でもこれはお世辞でもご機嫌取りでもなく、私の本音だ。

年の離れたお姉さんが二人いるらしい爽吾君は、小さな頃から色々なところに連れ回されたらしい。

そのおかげか爽吾君はカフェやレストランはもちろん、美容院や服屋さんにもとても詳しいのだ。
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