ダチュラな私。

その感触に、嫌悪感が私を支配していく。

とにかく、気持ち悪くて。

今すぐソレを振り払いたい気持ちが沸き上がってくる。

だけど、それをなんとか抑え込んで。

私はゆっくりと、自分の手に視線をやった。


私の手を握っていたソレは予想通り、名前も知らない男の左手で。

それを目で認識した途端、体中を支配している嫌悪感は吐き気へと変わった。

心臓が警報のように、うるさく鳴る。


それでもゆっくり、ゆっくりと。

視線を手から徐々に、上へともっていく。

そして、私の視線が男をとらえたとき。


男はさっきまでの人当たりが良さそうな笑顔をしまい、いやらしく笑った。


その笑みは。

私が最も嫌いな種類のものだった。
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