ダチュラな私。
花みたいだ、と言われたことは初めてではない。むしろ、よく言われる言葉だった。
だから本当はマニュアル通りに“ありがとう”と返せばいいだけなのだけれど。
「……私はそんなに可愛らしくないよ」
私は、本音をこぼしてしまった。
自分でも、らしくないな、と思う。
でもなんとなく、一成の前ではなにも偽りたくないと思った。
……またなにか掛けられたら嫌だし。
「花ちゃんは可愛いよ!?
なあ、一成。お前もそう思うだろ?」
目を大きく見開きながら、一成の肩を叩く爽吾君。
すでにこの会話に興味が無かったのか、スープを飲もうとしていたらしい一成は迷惑そうに眉間にシワを寄せた。
「じゃあなんだと思うわけ?」
だけど一成は爽吾君を怒るわけでもなく、その言葉に返事をするでもなく。
興味なさ気にスープを飲みながら、私に真っ黒な瞳を向けてきた。