ダチュラな私。

皆の視線が私に集中する。

何も話さない私はもしかしたら、考え込んでいるように見えているのかもしれない。

だけど私の頭の中にはすでに、ある花が浮かんでいた。

朝顔に似た、一見可愛らしい花が。


「そうだな……私はダチュラかな」


私が口にした花の名前。

それは誰も知らなかったようで、皆が顔に疑問符を浮かべていた。

でも、知らなくて当たり前だろう。

その辺に咲いている花ではないし、私だってたまたま図鑑で知ったんだから。


「ほら、早く食べよ。冷めちゃうよ?」

聖羅と爽吾君がお互いに知っているか聞き合っている途中、その会話を終わらせるように皆を急かせる。

二人は慌てて料理を食べだしたけれど、一成だけはスープを飲みながらも私を窺うようにじっと見ていた。
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