ダチュラな私。
料理が下手だというわけではないけれど、胸を張って上手だと言えるほどではない。
家で食べるような料理ならば美味しいかまずいかは別として、だいたい作れるけれど。
本格的な料理は丸っきりダメなのだ。
それに冷蔵庫の中身を思い浮かべても、やっぱりたいした料理は作れそうにない。
もともと今日はあまり物の野菜で、簡単に野菜炒めにするつもりだったし。
「じゃあいただきます」
何を作ろうか真剣に悩んでいると、一成がペコリと軽く頭を下げてきた。
それにつられて私も頭を下げそうになったけれど、それは変だろうと冷静な自分の声が聞こえてきて、なんとか間抜けなところを見られずに済んだ。
「あっ、じゃあどうぞ入って」
とりあえず家に入ろう。
それで冷蔵庫の中身をもう一度確認しよう。
私は慌てて鍵を開けて、一成を促すように玄関のドアを開けた。