ダチュラな私。

一成をリビングに通そうと、足を進めようとしたとき。

二階からバタン、バタンとドアが開く音と閉まる音が聞こえてきた。


ああ、やっぱり帰ってたんだ。

静かだからまだ帰っていないのか、部屋で寝ているかのどちらかだと思っていたけれど。

私が帰ってきたと同時に二階からおりてくるってことは、お腹が空いて部屋でゴロゴロしていたんだろう。


「おい、誰かいるのか?」

玄関のちょうど真向かいにある階段からドタドタと誰かがおりてくる音がし始めたころ、後ろに立っていた一成にそう聞かれた。

そういえば、一成には言ってなかったな。

別に難しいことではないので、簡単に説明しようと後ろを振り返ろうとしたとき。


「お帰りー。
姉ちゃん、俺すげえ腹減った……」

ドタドタと音をたてていた人物が、お腹をおさえながら階段をおりてきた。
< 120 / 342 >

この作品をシェア

pagetop