ダチュラな私。

どうりで寒いはずだ。

真夏で太陽が照っているとはいえ、海から吹く風はなぜだか冷たい。

パーカーを脱いだほうが絶対に暖かいはずだと思い、ファスナーに手をかけたとき。

ふと、一成の真剣な瞳を思い出した。


どうしよう?

ファスナーに手をかけたまま、ファスナーと海で遊んでいる一成に視線を交互に移す。

一成は私の様子には気付いていないみたいだし、それによく考えればなぜパーカーを着させられたのか理由も聞いていない。


自動販売機はすぐそこだし……一成にばれなければ大丈夫かな?

私は三人の様子を窺いながら、思い切ってパーカーを脱いだ。


パーカーを脱ぐと一瞬、悪寒が走ったけれどそれは太陽のおかげですぐに消えていった。

やっぱり、脱いで正解だったな。

私は慌てながらも出来るだけ丁寧にパーカーをたたんだあと、一成にばれないように足早に自動販売機へと向かった。
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