ダチュラな私。

「ごめんなさい。友達と来てるんで」

にやけた男達にそう告げながら、距離をとるために一歩後ろへ下がる。

表面上は冷静を装っているけれど、内心はもうパニック状態だ。

お願いだから、早くどこかへ行って。女の子なら他にもたくさんいるでしょ。

そう考えながら足をもう一歩、後ろへと下げたとき。


「そんなこと言わないでよ。ちょっとくらい大丈夫でしょ?あっちで話そうよ」

私の態度が気に障ったのか、二人の表情がいらついたようなものへと変化した。

そして片方の男がそんなことを言いながら、私へと手を伸ばしてくる。

怖い。

その手と、男達の表情に抑えていたその感情が一気に溢れ出した。


だけど、男の手がもう少しで私の腕に触れそうになった瞬間。

後ろに気を配る余裕なんてなかった私は、誰かにぶつかってしまった。
< 144 / 342 >

この作品をシェア

pagetop