ダチュラな私。
男達が去った後も一成は私から腕を解いてはくれなかった。
嫌ではないけれど胸に触れるか触れないかの位置で交差されている両腕や、背中に感じる素肌に私はもう爆発寸前だ。
「一成?あの、腕……」
「このバカが」
あまりの緊張に私の腕の中にあったペットボトルがカタカタと揺れ始めたころ。
私の言葉にかぶせるように話し出した一成は、そんな失礼な言葉と同時にやっと腕を解いてくれた。
「えっ!?」
私、今、バカって言われた?
怒りよりも驚きが勝った私が振り返ると、一成は呆れたように私を見ていて。
向かい合う形でお互いにしばらく見合っていると一成は突然、はあ、と大きなため息を吐きながら私の腕の中にあるペットボトルを一本ずつ奪っていく。
どうやら持ってくれるらしい。
だけど私はなぜバカ呼ばわりされたのかが気になって、自分の手に財布を握らされるまで、じっと一成を見つめていた。