ダチュラな私。

一成は私とは違って片腕で四本のペットボトルを抱え込むように持っている。

大きい手って羨ましいな、と思いつつ、なんで私がバカなのかな、と考えていると。


「あのさ、なんでそんなに無防備なんだよ?だから脱ぐなって言っただろ?」

一成は目の前にいる私にしか聞こえないような小さな声でとても言いにくそうに、私から目を逸らしながらそう言う。

その言葉を聞いて私はやっと、一成がパーカーをかしてくれた意味と、わかりにくい優しさに気が付いた。


「……ごめんなさい」

私は、本当にバカだったらしい。

財布をギュッと握りしめながらそう言ったけれど、あまりに恥ずかしくて消えそうな声しか出てこなかった。


だけど私よりも、バカな私のせいで言いたくないことを言わされた一成のほうが、恥ずかしいに違いない。

私は俯いてしまいたい気持ちを抑えながら、目を合わせてくれない一成に視線を送った。
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