ダチュラな私。
繋ぐもの
温くもなく冷たくもない海の中をユラユラと漂う感覚を、私は浮輪に掴まりながら楽しんでいた。
沖まできたのか、私の足はどれだけバタつかせても海の底につくことはない。
これが一人ならば、私はどうやって岸まで戻ろうかと焦っていただろうけれど。
「おい。どこまで引っ張ればいいわけ?」
「適当にお願いしまーす」
一成が一緒なので焦ることはない。
私はわざと間延びした返事をしたあと、魚を探すことに集中していた。
一成とパラソルの下に戻ると、聖羅と爽吾君はシートの上に寝転がっていた。
体力の限界まで勝負したらしい二人は、起き上がる気力もなかったらしく。
“一成、花を沖まで連れていきなさい。”
シートをまだ占領していたいらしい聖羅にそう命令されながら浮輪を渡された一成は、悪態をつきながらも私をここまで連れてきてくれた。