ダチュラな私。
至近距離で一成を睨み付ける。
本当に、本当に危ないと思った。
泳げる人間にはわからないだろうけれど、泳げない人間にとって水辺は恐怖なのだ。
だってもし溺れても、自分ではどうしようもないのだから。
「本当にごめん。大丈夫か?」
一成は私を睨み返すこともなく、ただ真正面から私を見返してくる。
真っ黒な瞳は太陽の下だというのにその色は相変わらず、ただただ真っ黒だ。
その瞳に、心臓がさっきとは別の意味で動きが速くなる。
そして気付かなければよかったのに、今の自分の状況に気が付いてしまった。
一成に抱っこされているような体勢の私。
一成の腕は私の腰の辺りに回っていて、片手だからかかなり強く抱きしめられている。
さらには私も落ちないように一成の首に手を回しているので、お互いの体は完全に密着している。