ダチュラな私。

密着しているせいで胸とか完璧に、一成の体に押し付けるような形になっちゃってるし。

一成はなんとも思っていないのか、平然とした表情をしているけれど。

私の羞恥心は一気にメーターを振り切った。


せめて、一成から借りているパーカーでも着ていればよかったのだろうけれど。

一成から絶対に離れないことを条件に水着でいることを許してもらった私は今、水着以外何も身につけていない。

離れたくても離れたら溺れてしまうし、浮輪だって腕を伸ばしても届かない距離にある。


もう、とにかく恥ずかしい。

密着している体も、腰に回っている腕も、目の前にある一成の顔も。

半分パニック状態の私は、とにかくこの恥ずかしさを少しでも軽減させたくて。


「……後で聖羅に言い付けてやる」

恐ろしい速さで動く心臓を落ち着かせながら、そんな可愛いげのない言葉を目の前の一成にむかって吐き捨てた。
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